兵庫県川西市では、ゴミ袋有料化にむけ準備が進んでいます。
住民のゴミ排出に課税する理由として、川西市はこう言っています。
「ゴミを減量して、限りある資源を有効に活用し、持続可能な循環社会をつくっていくことを目指しており、環境と限りある資源を未来に引き継ぐ必要があります。」
ここまでお為ごかしな偽善言葉のオンパレードには、さすがに蕁麻疹がでそうです。
そして、ゴミ袋有料化(増税)では、これらのどの目標も実現できません。
ゴミ袋有料化がダメな理由は ⇑のコラムを読んでいただくとして、このコラムでは、ゴミの減量がこれ以上できるのかどうか、川西市のデータを紹介しながら説明していきます。
すでに家庭ゴミは十分に減量できている
一昔前なら、商品は過剰梱包でしたし、詰め替え容器なんかもありませんでした。レジ袋も無料でしたし、ペットボトルも今より分厚い素材のものでした。
ですが、今はどうでしょう。
商品はより簡易包装になり、詰め替え容器が普及し、レジ袋が有料化され、ペットボトルは極薄の材質になっています。
注目すべきなのは、これらは全て企業が主体となって取り組んだ成果だということです。
そして、購買者が経済効率性に沿って行動した結果、なるだけ簡易包装のものを購入し、なるべく詰め替え製品を選択し、なるべくレジ袋を使わないようにした結果、ここまでゴミの削減が進んできました。⇒ 有料化しなくても、ゴミは減っているゾ!(Link)
もちろん、消費者が環境のことを考えて行動したということも背景にはありますが、環境に良いからと言って、わざわざ高いものを選択するというのは持続可能な状態とは言えません。必ず経済効率性(お得・安い)などと言った実利・実益が伴ってはじめてゴミ減量化は持続可能となります。
家庭ゴミ減量のための具体例
「ゴミ増税」は、家庭ごみをターゲットにした懲罰税です。
私たちはこれ以上、何をどう削減すればゴミを減らすことができるのでしょう?
次の資料は「川西市一般廃棄物処理基本計画の35ページ」のデータです。
ごみ減量の具体例と削減見込み量を表にしたものです。計画書全文のLinkはこちら⇒全文(Link)
さて、まず前提として、川西市では一人1日91gの削減を市民に目標として押し付けていることに留意しつつ、表の内容を見てください。
施策8,9については、具体的に何をしろと言っているのか意味不明です。
ですから、家庭において削減できる具体的な施策としては「施策1~7」だということがわかります。
施策(1~7)のうち、
【すでに大半の市民が取り組み済み】と思われる施策として挙げられるのが、
施策1 水切り 3.1g
施策3 手つかず食品の削減 5.2g
施策4 使い切り・食べきり運動の推進 8.2g
施策5 グリーンコンシューマー運動の推進(簡易包装) 10.6g
施策6 プラスチック製容器包装(レジ袋含む)の使用削減推進 12.4g
です。
つぎに
【生活環境や生活スタイルによって対応できない】施策として挙げられるのが、
施策2 生ごみ堆肥化の普及啓発 0.4g
施策7 マイボトルの推進 0.3g
です。
施策2 生ごみ堆肥化の普及啓発については、「8年で160世帯に生ごみの堆肥化を取り組ませる」のだそうです。どうせコンポスト購入に補助金(税金)をつけるのでしょう。
具体的な施策(1)「水切り」は、グラム数は減っても、ゴミの容量が減るわけではありません。
ですから、指定袋を強制することで「水切り」という手間を省く人も出てきます。実際、私もそうします。お金をとられる上に、手間もかけさせられるなんてバカみたいでやってられません。
ちなみに具体的な施策(1~7)で減量できるのはたったの40.2gで、しかもこれらは、すでに大半の市民が取り組み済みの施策です。
これらの施策以外では、紙や布製品などの資源ごみ(再生プラは逆資源(Link)なので除外)の分別の推進などが挙げられますが、川西市の住宅地域の自治会では、すでに資源ごみ(紙・段ボール・布・アルミ缶など)は業者に買取収集してもらっています。
ですから、これもゴミ削減の効果は薄いと言えます。
私は、「施策2 堆肥化」以外は全て取り組み済みです。
私の場合は、もうこれ以上ごみ削減はできません。
ゴミ袋が有料化されてもゴミは減量できません。
あなたが取り組んでいないのは何でしょうか?
生ごみを水浸しにして出していますか?
食事をわざわざ食べ残してゴミにしているんでしょうか?
必要もないレジ袋をわざわざ購入していますか?
食べきれないとわかっている食材を買っていますか?
おそらく、すでに多くの方が、無理のない範囲でちゃんとゴミ削減に取り組んでおられるはずです。
ということはつまり?
ゴミ袋を有料化(懲罰税)してもゴミは減らない
ということです。
川西市議の長田たくや市議が、有料・無料で減量効果がないことを検証されています。
そしてこのコラムでは簡単な解説に留めましたが、ゴミの減量については以下のコラムでも考察していますので、詳しくはこちらで(⇓)
こんなバカげた間接税制度を成立させては、子供たちに合わす顔がありません。
燃やすゴミ以外の物が分別されないで,燃やすゴミに混ぜられることを防ぐ目的で,燃やすゴミを入れる袋が指定されて有料化されることには反対しません。燃やすゴミ以外の物を出すための袋が指定されることには反対します。
コメントありがとうございます。貴重なご意見として承ります。
資源ごみや不燃物に関してはそれぞれゴミ出しルールを守るべきですが、有料化しても混入廃棄を防ぐ効果はありません。
ゴミ袋代で税金を支払った分、逆に分別する意識が下がるという反対の結果を招来することもあります。
有料化ありきで進める自治体では、有料化とゴミ分別問題とを、それぞれ相関があるように誤解させるようなアナウンスをすることがあり、その説明を聞いて混同して理解する方がいらっしゃいますが、ゴミ分別の問題はゴミ袋有料化では改善効果が低く、また別の新たな問題を発生させたりすることもあります。